ついによんでしまった問題作。
気分が悪くなりそうだから、読まないでおこう・・・と思っていたのに、やっぱり見つけたら手に取ってしまうのが人間ですよね。図書館に返却されていたのを見て、たまたま読みました。
この本。一時期すごい人気だったじゃないですか。
そのせいなのか、貸し出しが多くてぜんぜん読むことができなかったんですよね。でも、最近になって人気が落ち着いてきたみたいで、読むチャンスがあってよかったです。
内容は、騙されて連れてこられた学生たちを含めた船員が、カニをとるための「蟹工船」に乗せられて、激務を押し付けられるという内容です。いや、これはもう激務って内容じゃないよね、人間扱いをされていない。
疲れて仕事ができなくなっても無理やり働かされ、死ぬ寸前まで奴隷みたいに働くんです。で、船員たちは我慢が出来なくなってストライキを決行。一回目は失敗しますが、二回目をやろうと立ち上がり、そこでページは終わります。
なんというかね・・・話がハードすぎて、あんまり感想が浮かんでこないんですわ。
印象的だったのは、蟹工船ていうのはカニの缶詰を作るための船だから、工場の船なんですよね。一般的な船じゃないから、航海法が適用されない。それをいいことに、とんでもないことやり放題なわけです。仲間の船を見捨てたり、今だったらやれないことをやっているところが恐ろしいです。
追記には、二回目のストライキが成功したとありましたので、これらの船員たちの状況は改善されたみたいですね。読むのもキッツイ本ですが、成功というラストは良かったですね。
この蟹工船が向かっていくのはベーリング海なのですが、ベーリング海のカニ漁は本当にキツイと海外の番組でも紹介されています。こちらはネットでみたことがあるのですが、船にばんばん波がぶち当たる中でカニをとっているんですよね。落ちたら救命胴衣があっても死にそうな波の中です。
こんなに危険なことをしているのに、なぜこの人たちはやめたいんだろう?と思うのですが、やはりカニをとったときに手にするお金に惹かれているようです。これで、辞められないと。私だったらすぐやめますけど、だから貧乏なのかなあ。根性がないから・・・。
話題作ということもあって内容も良いですし、さすが文章も素晴らしいので、手に取って損はないと思います。思った以上に面白かった、それが私の感想かな。ただ、内容的にはなかなりエグイというか厳しいので、そういう話に耐えられる人だめ読むのをお勧めします。そうじゃないと、耐えられないかも。